COLUMN

第18話 はだか薬師

 むかしむかしのことでありました。
 睦合の高館山のふもとに、七曲利兵衛という人が住んでおりました。
 この辺一帯、高館山に登るのにくにゃくにゃくにゃくにゃと曲がっておりますので、地 名を七曲りと言いました。
 そこに、大きな石が、『デーン』とすわっておりました。
 それは畑のすみの方にありました。
 あるとき、利兵衛は、その石を、下の方に、なんということなくころげおとしてしまっ たのでありました。
 ちょっとした力もうがさせた業でありました。
 すると、ほどなくしまして、利兵衛の目が見えなくなってしまったのでありました。
 そこで、利兵衛は、近くの神さまに、
 「どうして、目、見えねえぐなったんだべない。」
とうかがいをたてました。
 そうしますと、
 「なんおかかわりもない大石を、川原におとしたからである。」
というご託宣が出たのでありました。
 困ったことになりました。
 「どうしたら、目が見えるようになるでしょうか、おせいでくなんしょ。」
と、またたずねますと、神さまは、さりげなく、
 「前にけり落とした大石を、だれの力もかりずに、元のところに戻すのじゃ。それ以外 に方法はない。」
と言われたのでありました。
 利兵衛は仕方なく神様におちかいいたしました。
 やっとのことで、元の場所にもどして、
 「やれ、やれ、よかった。」
と安心し、小さなお堂を建ててお祭をしました。
 しかし三回もお堂がたおれるということがおきました。
 困りました利兵衛が、また神様にたずねました。
 「はだか地ぞうだから、お堂の中に入っていることができないのであるぞよ。」
といわれましたので、子守り堂を作りまして、そのうしろに、はだか地蔵をおまつりいた したのでありました。
 そうしますと、利兵衛の目は、また、見えるようになったのでありました。
 伊達長岡の三太の目がなおった。とか瀬上の虎やんが、御洗水をつけたら目がなおった とか、この薬師堂は、今日まで、いろいろな病気をなおしたといういい伝えにかざられて おります。その信仰は今日までもいい伝えられております。

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